心臓の音がうるさい。
どくどくと私の内で自身の存在を主張している。
寒い外で身体を動かしていると、尚更にうるさく感じる。
普段は「うるさい」とは感じない。
どくどくと鳴る心臓は、私を奮い起こそうとしているようで、微笑ましい。
今日は気持ちが沈んでいるから、うるさく感じるだけだ。
それにしても、今日はこんなに気持ちが沈むのだろうか?
色で言えば、青鈍色か藍鉄色のような沈み具合だ。
糠に釘を刺すような沈み具合とも言える。
私が沈んでいるから、心臓は鼓舞しようとしている。
しかし、少し静かにしてほしい。
どくどくの音が気になって、落ち着かない。
深呼吸を一つした。
吸って吐いてを繰り返すと、姿勢が正されて、顔が上がってきた。
気分はあまり良くないが、先程よりはマシになった。
その後も何度か深呼吸をした。
ふと、そう言えば、心臓の鼓動は静かになった。
安心したのか、どくどくとは聞こえない。