夕食を食べ終えて、ふっと寛ぐ。
完全にOFFモードだ。
大変に困った、まだやらねばならないことがあるのに。
ここから、再びONモードに入れなければならない。
電源スイッチを身体中に探すが、見当たらない。
そうだ、私のスイッチは剣呑な場所にあって、容易に押せないのだ。
一度、OFFになってしまうと、切迫しないと入らない。
例えば、時間ギリギリの出社時間だとか。
これ以上引き延ばせない、というところまでいかないとまず入らない。
そして、今は割ともうそういう次元に入っているはずなのだが、足の先から空気が抜けていく。
嗚呼、「やらねば」と唱えても、言葉は浮つき、本心から出てこない。
まずい、という意識は、切迫感にならないのが非常にまずい。
頭と心と身体がこれほどまでにズレることは普通なのだろうか?
頭では分かっている、理解している、何なら説明できる。
しかし、心はもう明日に向かっているし、身体は駄々っ子だ。
誰か、やる気になる方法を編み出してくれないだろうか?
瞬間風速50m/sのやる気が欲しい。
今は凪、完全に凪いでいる。
ある意味で今晩は正念場、私の脱皮ができるかどうかの瀬戸際だ。
ここで変態しなければ、蛹の中でドロドロになったまま死に絶えるだけだ。
蛾だろうが蝶だろうが、この際何でも良い、私を変態させてくれ、私よ。
がっぱつお、いうねいうね、やらなければ。
虎穴に入らずんば、虎児を得ず。
剣呑な場所に踏み込んで、足の穴から抜ける空気を封じ込めろ!
夕食を終えて、小一時間、カチカチを音をさせる。
OFFからONに、なりそうでならない、もどかしさ。
大変に困ったが、今はカチカチ言わせるしかあるまい。
がっぱつおいうねいうね、と意味のない言葉を再度唱えて、奮起を促す真宵かな。