歩道の脇にマリーゴールドが咲いていた。
赤味の強い黄色で、オレンジのような色合いであった。
西日に照らされたマリーゴールドはより赤味を色濃くなり、グロテスクな印象さえ受けた。
数キロにわたって植えられたマリーゴールドの花の揺れに可愛さと不気味さを覚えた。
水不足だろうか、真っ茶色の枯れた個体がぽつりぽつりとあった。
真夏の蜃気楼で隠されたマリーゴールドの本当の姿は、細く細く渇れ果てているのかもしれない。
マリーゴールドの血は柔らかな土に流れて。
最早、一滴の血もなくミイラになって尚、立ち続けているのかもしれない。
マリーゴールドの花を見て、ゴシックホラーな葬列を想起した。
歩道の脇にマリーゴールドが咲いていた。
私はここに居る、とマリーゴールドが咲いていた。
去年も咲き、今年も咲き、来年も咲くだろう。
マリーゴールドの血の色をした夏が過ぎていく。